博物館実習B

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池田満寿夫「遙かなる女」セルフガイド

今回は池田満寿夫の「遙かなる女」について、セルフガイドを用いながらさらに詳しくご紹介します。

 

 このセルフガイドは主に大人の方向けに作成したものとなっているので、文章での解説がメインになっています。当該作品の来歴や版画技法といった周辺知識や、類似の作品も掲載することで、「遙かなる女」についてより良く知ってもらうことを目的としています。

  

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「遙かなる女」が制作された当時、池田の版画の制作技法は銅版画¹ からリトグラフ² へと移行する過渡期にありました。セルフガイドの2ページ目に掲載されているように、赤いストライプのコートを着た人物(女性)を描いた人物はこの「遙かなる女」を含めて数点制作されていますが、その技法を見てみると、銅版画とリトグラフのどちらでも制作されていることが分かります。

 

 銅版画¹…道具で銅版を直接彫ったり引っかいたりして傷をつけ、その凹部にインクを乗せて圧力をかけて紙に転写する技法。銅版につけた傷で描写するため、鋭い「線」の表現が特徴的。

 リトグラフ²…専用のアルミ板などに油分の強いチョーク、クレヨン、油性のペンシルなどで描き、水と油の反発作用を利用して刷る技法。描画した後にアラビアゴムや薬品を塗って製版し、版を水で濡らしてからインクを乗せて紙に転写する。銅版画よりも柔らかい「面」の表現が特徴的。

 

 

 池田はこれらの作品を通じて観る人に何を表現したかったのでしょうか。線で表現する銅版画と、面で表現するリトグラフとのタッチの違いも見比べながら鑑賞してみると、面白いですね。

 

文責:M.H