博物館実習B

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瑛九と小コレクター運動

こんばんは。今日からは今まで紹介してきた各作品の作者が小コレクター運動にどのように関わってきたかをお伝えします。

まずは、1-1班 「指」の作者 瑛九 についてです。

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「指」

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○美術教育の精神

瑛九は子どもの造形性を育てるための教育には、まず教師が近代美術を研究し、認識することが必要であると考えていました。そこで久保貞次郎が設立した「創造美育協会」での全国大会に参加し、教師との交流の機会を持ったり、銅版画の講習会を開いたりと美術教育の啓蒙と普及に努めたのです。久保貞次郎は瑛九を通して多くの作家と知り合うことになりました。瑛九は新しく、より自由な美術教育の道を切り開こうという精神のもとで「デモクラート美術家協会」を結成しました。そこには自由と独立の精神で作品を制作するという考えに共感した前衛芸術を志す人々が多く集まりました。

 

瑛九は新しい美術運動の展開や団体の結成も行いました。瑛九による美術作品の普及活動としてまずあげられるのが「よい絵を安く売る会」です。この運動は公衆が能動的に芸術作品を鑑賞できていないことが、画家が報われない原因になっているという考えから、現状を変えるために行われました。その後活動は「版画友の会」、「創美セミナール」で始まった「小コレクターの会」に繋がり、「デモクラート美術家協会」の作家達は版画作品を提供しました。同時期瑛九エッチングリトグラフを集中的に制作し、エッチング集を刊行しています。「版画友の会」はその後も続き版画普及のために大きな役割を果たしています。

 

瑛九は、芸術は一部の人のものではなく、広く大衆に行き渡るべきものだと考えました。その実現のために美術教育や美術作品の普及、技法の普及を通して芸術の大衆化に努めています。瑛九の啓蒙と普及の活動は、美術界の活性化のために公衆に芸術を身近に感じてもらうことと、画家の正当な評価を得ることを目的としたものだったのです・・・

 

文責:M.I